第4回は、材料となる原木の‘それまで’と‘これから’を真っすぐに見つめ、「家族のような家具」を制作されている
木工家の風間純一郎さんにクローズアップ!


Creator Information
NAME : 風間純一郎(かざま じゅんいちろう)
OFFICIAL SITE : AGEHA ORIGINAL[アゲハ オリジナル]
2007年10月6日~14日まで、東日本橋でグループ展を開催。年明けに表参道ヒルズで個展を開催。



オリジナルの家具を生み出す木工家としてご活躍されている風間純一郎さん。現在に至る経緯と、現在の主な活動をご紹介ください。
 小さい頃から絵を描くのが好きだったので、将来はモノを創る仕事がしたいと漠然と考えて武蔵野美術大学のデザイン科に入学しました。
 卒業後は広告制作会社に入社し、主に資生堂のポスターやカタログのデザインを担当していました。会社では3年間はデザイナー、最後の1年はディレクターをやり、作るだけでなくて経費の面でも関わっていたこともあり、4年間の在籍で広告デザインの大まかな成り立ちを知ることができました。その間に広告コンペで受賞したり、大きな仕事に参加させてもらったりと、忙しい毎日でしたが充実したデザイナー生活だったと思います。
 その後、28歳の時に家具制作の道に入り、ゼロから学校で学び、関西の家具工房で修行を経て、3年前に独立して今に至ります。




アトリエの2階にあるギャラリー



グラフィックデザイナーから、木工家へと転換されたということですが、家具制作の道に入ったきっかけなどあれば、教えていただけますか?また、現在の活動が軌道に乗るまでに、努力した点や、苦労した事がありましたらお聞かせください。
 
グラフィックデザイナーをしている時に、ポスター含めた広告という媒体が使い捨て文化の上に成り立っているということに若干の違和感を持っていました。それ自体が悪いという訳ではなく、現にいまでも広告の世界は好きなのですが、同じ『モノを創る仕事』なら、なるべく人に長く必要とされるモノを作る仕事をしてみたいと考えるようになって、職人的な仕事を探していました。
 革鞄職人、木造大工、靴職人、漆職人・・・といろいろと候補はあったのですが、将来お店を持ちたいという夢もあったので、それを実現しやすのが家具工房だと思い、デザイナーを辞めて家具制作の道に入りました。とはいえ、もともと家具の知識はゼロでしたし、職人の世界に28歳から入っていった訳ですから、修行時代から現在までほとんど休むことなく家具作りに没頭している状態です。
 ちなみにいまアトリエ兼ギャラリーとして使っている建物は築50年以上の古い民家をすべて自分で直しました。


風間さんの制作活動には、「家族のような家具」をつくるという、素敵なコンセプトがあるそうですね。制作において、心がけていることやこだわっていること、また、制作した家具をどう使ってもらいたいなど、作品に対する思いを教えていただけますか。
 僕の場合、木の傷や節、割れを見てからデザインを考えるため、必然的に一品モノになっていきます。経営的には生産性を考えるべきなのでしょうが、木でモノを創るということを意識した時に、利便性から離れたところでその存在を打ち出していきたいと思うので、その『only one』というところを大事にしたいと考えています。
 家族や恋人ように、変えの効かない存在の家具を創っていきたいのです。
 人間の人生と同じでいろいろな困難があって、回り道しながらも上に上にと育っていく彼らの生命の証としての傷や割れを、美しく家具に反映させていきたいと思って制作に取り組んでいます。




完成までは多くの時間がかかるとのこと。素材選びから完成までの大体の工程と、おおよその時間を教えてください。
 基本的に同じモノを創らないスタンスでいますので、制作はいつもゼロからはじめます。 ですから、キャビネットやチェスト類は制作だけで一ヶ月以上かかりますし、その他、木を探しに全国を見て回ったり、先輩作家さんのところに見学に行って勉強させてもらうので、見えないところにとても時間をかける仕事だと思います。

今まで作った家具のうち、何か思い入れのある作品などがあれば教えてください。
 はじめての作品展(友人とのグループ展)で大型のキャビネットを出展したのですが、展示を見に来たお客さんに思いがけず買ってもらえました。その時は嬉しいというよりも、ビックリしたというのが本心でした。
というのも、そのキャビネットは日本の家具のスタイルとは大きくかけ離れていた作品だったので、その価値をわかってくれる人がいるということに驚きました。いまでもそのお客さんとは連絡を取り合っています。




今後、つくってみたい作品はありますか? 興味があるジャンルなどあれば教えてください。
 これまではどちらかというと西洋的な家具のデザインを意識してきたのですが、おそらく将来は日本の伝統的な工芸に目を向けて制作していくと思います。日本人として生まれたからこそできるモノづくりがあると感じるからです。

クレコは、クリエイター同士やクリエイターとファンなど、人と人、人とクリエイティブ作品とのつながりをサポートするサイトとして生まれました。個展などで、様々な人々と制作を通じて関わる機会があると思いますが、日々の活動のなかで、「つながり」が大切だと思うことがありましたらお聞かせください。
 家具工房での仕事は、お客さんと直接会って普段の生活の話を聞いてからデザインを提案し、制作に取りかかります。お客さんは僕のこれまで作ってきた家具を見る前に、僕個人を観察した上で注文をしてくれます。ですから、クリエイターである前に、一人の人間としての常識を持ち合わせていないと仕事になりません。そして一度信用していただくと、そこから友人を紹介してもらえたり、家族ぐるみのつながりに発展するので、そこが家具工房の魅力的なところだと思います。



 


今後の活動予定・告知などがありましたら、お聞かせください。
 2007年10月6日~14日まで、東日本橋でグループ展をやります。そして 年明けに表参道ヒルズで個展をやります。詳細はHPにてご覧ください。

OFFICIAL SITE : AGEHA ORIGINAL



風間さん、ありがとうございました。モノづくりの原点について、改めて考えさせられるインタビューとなりました。これからも、人に長く必要とされる素敵な作品を作り続けてください。
interviewer:クレコ編集部

→ Back number
 
VOL.1 さかてしんこさん 絵本作家/イラストレーター
 VOL.2 武田厚志さん アートディレクター
 VOL.3 坂口知香さん セラミックアーティスト/ペインター


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